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あなたの肝臓をもっと健康に!

B型肝炎の治療は、大きく分けて、

  1. 抗ウイルス療法(インターフェロン療法、エンテカビル治療、ラミブジン治療、ラミブジン+アデホビル治療)
  2. 肝庇護療法
  3. 免疫療法(ステロイドリバウンド療法など)

があります。

B型急性肝炎の場合は、一般に肝庇護療法により、ほとんどの人は治癒します。しかし、B型急性肝炎を発症した人では、劇症肝炎になり死亡する危険性もまれにあるため注意が必要です。

B型慢性肝炎の場合は、ウイルスを体から排除することは、なかなか難しく治療の目的は「ウイルスの増殖を低下させ、肝炎を沈静化させることとなります。

 しかし、わかりにくい話ですが、B型慢性肝炎を発症したからといって必ずしもすぐに治療を始めなければならないというわけではありません。

 というのも、いわゆる治療をしなくても自然にセロコンバージョン(「B型肝炎とは」に説明があります)が起こって肝炎が沈静化することが期待できる場合もあるからです。

 治療開始の判断は、年齢(35歳を境目とする)、ウイルス量炎症や線維化の程度などを検討・評価し、決定していきます。

 その結果、セロコンバージョンが起こる可能性が低く、肝硬変へ進行する可能性が高い場合、基本的には、肝炎の進行度が新犬山分類(別に説明します)でF2あるいはA2以上の場合に治療が検討されます。

このように、"肝臓の状"を正しく見極めることが治療法を決めるのにとても大切になります。



肝庇護療法とは、肝臓が破壊されるのを防ぎ、肝機能を改善させることを目的とした治療法です。

 原因であるB型肝炎ウイルス(HBV)を直接攻撃するわけではないので、長期間続ける必要があります。
 代表的なものに、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯(しょうさいことう)があります。

グリチルリチン製剤

1.作用

 主成分はグリチルリチンで、マメ科の薬用植物である甘草(かんぞう)から抽出されます。
代表的なものとして、静脈注射用の強力ネオミノファーゲンシーがあり、その治療目的は肝炎の進行を抑えて、今以上に肝細胞が破壊されないようにすることです。毎日注射をすると、効果がある場合は、2週間程度でALT(GPT)やAST(GOT)の値が低下します。
 ウイルスを直接攻撃するわけではないので、ウイルス量を減らす作用は強くありませんが、免疫力の増強や肝機能改善、体内でのインターフェロン合成を促進する作用があります。インターフェロン療法が効かなかった人、副作用が原因でインターフェロンが使用できない人、肝硬変の人、高齢者などが使用します。

2.副作用・注意事項

副作用としては、血液中のカリウムの低下、血圧の上昇、むくみ、発疹などがあります。

 副作用によっては治療を中止しなければならない場合もあるため、体に異常を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。

ウルソデオキシコール酸

1.作用

 ウルソデオキシコール酸は経口薬で、漢方薬の熊胆(くまのい)の成分を化学的に合成した胆汁酸製剤です。熊胆は古くから胃腸薬として漢方医療で使用されています。 胆汁の分泌を促進し、脂肪の消化・吸収を助けることにより、胃腸機能を改善します。また、肝臓の血流を増加させることで、肝細胞を保護する作用があり、AST(GOT)、ALT(GPT)値を低下させます。しかし、ウルソデオキシコール酸には抗ウイルス作用はありません。

また、C型肝炎の方に対しては、B型肝炎の方以上の効果があることが明らかとなっています。

2.副作用・注意事項

副作用は、頻度不明ながらも間質性肺炎が報告されています。その他、下痢、悪心、嘔吐、発疹などがあり、副作用によっては治療を中止しなければならない場合もあるため、体に異常を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。

小柴胡湯(しょうさいことう)

1.作用

小柴胡湯は、柴胡(さいこ)、黄ごん(おうごん)、半夏(はんげ)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)、人参(にんじん)、生姜(しょうきょう)の7つの生薬を処方した漢方薬です。  柴胡、人参に含まれているサポニンという成分にはステロイド様の作用があり、細胞膜の保護や抗炎症作用、抗アレルギー作用などがあるため、慢性肝炎に使用されています。
 その治療目的は、肝炎を抑えて肝機能を改善し、AST(GOT)、ALT(GPT)値を低下させることによって、病気の進行を遅らせることです。

2.副作用・注意事項

インターフェロン療法との併用、肝硬変の人、肝臓癌の人は、間質性肺炎が起きる危険性があるため使用は禁止されています。
 その他、食欲不振、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発疹などがあり、副作用によっては治療を中止しなければならない場合もあるため、体に異常を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。