日本肝臓学会誌「肝臓」の7月号が昨日、クリニックに届きました。
沢山の勉強になる論文が掲載されておりましたが、 その中に
「C型慢性肝炎に対するasunaprevir/daclatasvir併用療法著効後に発症した肝細胞癌の1例」
と題した症例報告が
「札幌厚生病院第三消化器科」小関先生他から出されており、
C型肝炎ウイルスをインターフェロンフリー治療で排除した後もインターフェロン治療後と同様に画像検査と血液検査で肝臓癌が出てこないないかどうか、十分に注意が必要であること
のメッセージがありました。
患者さんの経過の概略ですが、
75歳男性。
61歳の時に遺伝子型1b高ウイルス量のC型慢性肝炎と診断され、
インターフェロン・リバビリン併用療法、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を受けましたが、効果なく、
70歳の時にダクルインザスンベプラ併用療法の臨床試験に参加。
24週の内服治療が効果あり、C型肝炎ウイルスが排除されました。
肝臓の線維化はF3という強い状態でした。
治療後、6ヶ月に1度、肝造影CTと造影MRを繰り返し受けていました。
75歳の時に造影MR検査で9mmの肝細胞癌が診断されました。
入院の上、経皮的ラジオ波焼灼療法を受け、効果があったので、現在は外来で経過観察中だそうです。
IFN治療後、C型肝炎ウイルスが消えた後、
特に、男性、高齢者、肝線維化が強い患者さんでは肝発がんのリスクが高いことは知られており、
著効後も長期に渡る経過観察が必要とされると言われてきましたが、
インターフェロンフリー治療後も(男性、高齢者、肝線維化が強い患者さん)十分な注意が必要なようです。
著者の先生の病院では
インターフェロンフリー治療を受けた32人の患者さんをおおよそ2年(中央値28ヶ月)(23-50ヶ月)経過観察中だそうですが、
肝細胞癌が診断されたのはこの患者さんお一人だそうです。