Skip to content
あなたの肝臓をもっと健康に!

急性妊娠性脂肪肝

上映中の映画「抱きしめたい」の体が不自由なヒロインが出産後、急変して亡くなっていまいました。

映画「抱きしめたい 真実の物語」

病名は「急性妊娠性脂肪肝」でした。

まれですが、重症な肝臓病と言われています。

今回は英語のオンライン教科書 UpToDateからまとめてみました。

まとめ (医師向けになってしまいました。 すみません)

●急性妊娠性脂肪肝は妊婦さんにだけ(人間だけに)みられる脂肪肝です。まれな病気で7000から20000の出産におひとりかかる確率です。 多胎妊娠に多く、また、どちらかというと、やせ型の女性に多く起こります

●急性妊娠性脂肪肝は典型的には妊娠後期(the third trimester)に起こります。病気はいつも出産前に起こっているのですが、 出産前に診断されることは少ないのが現状です。一番多い初期症状は悪心または嘔吐(約75%)、腹痛(特にみぞおち、50%)、食欲不振、黄疸です。半数の患者さんには 病気の起こったときか病気中に子癇 の兆候があります。

●急性妊娠性脂肪肝の診断は普通、妊娠中の症状、血液検査結果や画像検査結果に基づき臨床的くだされます。血液検査では血清ALTやAST、ビリルビン、凝固系検査、電解質、血糖値、尿酸値、クレアチニン値、白血球数の異常が 診断に有用です。その際、HELLP症候群(溶血 肝機能異常、血小板の低下 Hemolysis, Elevated Liver enzymes, and a Low Platelet count)の除外が重要です。

●急性妊娠性脂肪肝に特別な治療はありません。母体の安定化後、迅速な(大体、緊急)出産が大切です。

●急性妊娠性脂肪肝の原因として脂肪酸のミトコンドリアでのベータ酸化の遺伝的欠損が関係しているといわれています。(The association of cases of acute fatty liver of pregnancy with one of the inherited defects in mitochondrial beta-oxidation of fatty acids, long-chain 3-hydroxyacyl CoA dehydrogenase deficiency (LCHAD), suggested that some affected women and their fetuses might have an inherited enzyme deficiency in beta-oxidation that predisposes the mother to this disorder.) 急性妊娠性脂肪肝に罹った際はこの酵素欠損がないか調べることが推奨されています。

急性妊娠性脂肪肝は繰り返すことがあります。一度、急性妊娠性脂肪肝を起こした妊婦さんは専門家集団による監視が必要です。