← メニューを閉じる

2007年度版B型慢性肝炎の治療ガイドライン

大変遅れましたが、厚生労働省の肝炎班会議(B型およびC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化に関する臨床研究)から公表されました2007年度版B型慢性肝炎の治療ガイドラインを紹介させていただきます。

2006年度版との大きな違いは核酸アナログとしてエンテカビルが第1選択として推奨されたことです。

1.35歳未満

HBV DNA量7 log copies/mL以上7 log copies/mL未満
HBe抗原陽性 インターフェロン長期間歇 インターフェロン長期間歇
HBe抗原陰性 経過観察 経過観察
(進行例はエンテカビル)

原則:35歳未満のHBe抗原陽性の患者さんにはインターフェロンの長期間歇治療を原則とする。
なお、HBe抗原陰性の患者さんについては基本的に経過観察を行い、進行している方
にはエンテカビルを内服していただく。

2.35歳以上

HBV DNA量7 log copies/mL以上7 log copies/mL未満
HBe抗原陽性 1.エンテカビル エンテカビル
2.インターフェロン長期間歇
HBe抗原陰性 エンテカビル エンテカビル

原則:35歳以上ではインターフェロン治療の効果が低いため、HBe抗原陽性・陰性を問わず
エンテカビルの長期単独内服を第1選択とし、していただく。HBe抗原陽性・高ウイルス量の
患者さんにはIFNの長期間歇治療も考慮する。


3.現在、ラミブジン内服中B型慢性肝炎患者さんに対する核酸アナログ製剤治療ガイドライン

ラミブジン内服期間3年未満3年以上
HBV DNA
2.6 log copies/mL未満持続
エンテカビル0.5mg/日に
切り替え可
ラミブジン
100mg/日を継続
HBV DNA
2.6 log copies/mL以上
BTH*
なし
*エンテカビル0.5mg/日に
切り替え可
BTH*
あり
アデフォビル
10mg/日併用
アデフォビル
10mg/日併用

*BTH:ブレイクスルー肝炎
*ラミブジン変異のないことを確認後内服


補足

  1. 抗ウイルス療法は、ALT値が正常値上限の1.5倍以上を持続する場合に考慮する。 ALT値が正常値上限の1.5倍以内の場合も異常値が持続する場合は抗ウイルス剤の投与が望ましい。しかし、高齢者やHBe抗原陰性例、 抗ウイルス剤の投与が難しい例では肝庇護療法(UDCA、SNMC等)で経過をみることも可能である。
  2. 若年(35歳未満)の患者さんでは、抗ウイルス療法のインターフェロン長期間歇、またはステロイド、インターフェロン、 核酸アナログの短期併用投与が原則である。ただし、 組織像の軽い患者さんでは自然経過でのHBe抗原のセロコンバージョンを期待し経過観察することもある。
  3. 抗ウイルス療法の中高年(35歳以上)患者さんの核酸アナログ未使用患者さんでは、エンテカビルが第1選択になる。
  4. ラミブジン耐性ウイルスによる肝炎に対ては、アデフォビルが第1選択になる。また、 慢性肝炎でHBe抗原陽性例ではALT値が100以上での投与が効果的である。(但し、組織学的に進行した患者さんではHBV-DNAが上昇した時点でアデフォビルを開始する。)
  5. 若年でも肝病変進行例(組織所見がF3以上)では、エンテカビルの投与を考慮する。