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あなたの肝臓をもっと健康に!

あなたの肝臓をもっと健康に!

平成21年度厚生労働省 肝炎等克服緊急対策事業(肝炎分野) 肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究班(研究代表者 虎の門病院 熊田博光先生)から

平成22年(2009年)の(平成21年度)B型慢性肝炎の治療ガイドライン

が公表されましたので紹介させていただきます。

 例年通り、患者さんの御年齢が35歳未満か、35歳以上かでわけられております。また、「補足」とゼフィックス服用中のB型慢性肝炎患者さんに対する核酸アナログ製剤治療ガイドラインも記されて、以下のようにかきわけられています。

  1. 平成22年35歳未満B型慢性肝炎の治療ガイドライン
  2. 平成22年35歳以上B型慢性肝炎の治療ガイドライン
  3. 平成22年B型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足)
  4. 平成22年Lamivudine(ゼフィックス)服用中のB型慢性肝炎患者さんに対する核酸アナログ製剤治療ガイドライン

1.平成22年(2010年)35歳未満B型慢性肝炎の治療ガイドライン

治療対象は、

  • ALT≧31IU/Lで
  • HBe抗原陽性例は、HBV DNA量 5 log copies/mL以上
  • HBe抗原陰性例は、HBV DNA量 4 log copies/mL以上
  • 肝硬変では、3 log copies/ml以上
HBV DNA量 7 log copies/mL以上 7 log copies/mL未満
HBe抗原陽性 ①IFN長期投与 (24-48週) ②Entecavir* ①IFN長期投与 (24-48週) ②Entecavir
HBe抗原陰性 ①Sequential療法( Entecavir + IFN連続療法)② Entecavir ①経過観察または Entecavir② IFN長期投与 (24週)
血小板 15万未満または F2以上の進行例には最初から Entecavir

*Entecavirを使用しe抗原が陰性化しHBV-DNAが陰性化した症例はSequential療法に切り替え、drugfreeをめざす

2.平成22年(2010年)35歳以上B型慢性肝炎の治療ガイドライン

治療対象は、

  • ALT≧31IU/Lで
  • HBe抗原陽性例は、HBV DNA量 5 log copies/mL以上
  • HBe抗原陰性例は、HBV DNA量 4 log copies/mL以上
  • 肝硬変では、3 log copies/ml以上
HBV DNA量 7 log copies/mL以上 7 log copies/mL未満
HBe抗原陽性 ① Entecavir②Sequential療法*( Entecavir + IFN連続療法) ① Entecavir ② IFN長期投与( 24-48週)
HBe抗原陰性 Entecavir ① Entecavir② IFN長期投与( 24-48週)

*Entecavirを使用しe抗原が陰性化しHBV-DNAが陰性化した症例はSequential療法に切り替え、drugfreeをめざす

3.平成22年B型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足)

  1. B型慢性肝炎の治療は、35歳未満はdrug freeを目指してIFNあるいはSequential療法を基本とする。35歳以上は、HBV DNAの持続的陰性化を目指して初回核酸アナログ製剤をEntecavirとする。尚、IFN・sequential治療とは核酸アナログ治療でe抗原が陰性化した(または陰性症例)症例で drug freeにするためIFNと核酸アナログを1ヶ月間併用しトータルIFN6ヵ月使用し治療を中断する治療と定義する。
  2. B型肝炎は、HBV genotypeにより治療効果が異なるため、genotypeを測定して治療法を決定することが望ましく、特に、genotype A, Bは、35歳以上でもIFNの効果が高率であることから、第一選択はIFN投与が望ましい。
  3. IFNの投与期間は、24週間を原則とするが、有効症例(HBV DNA低下、 ALT値正常化)は、48週間投与が望ましい。
  4. Lamivudine及び Entecavir耐性株に対しては、Lamivudine+Adefovir併用療法を基本とする。しかしLamivudine+Adefovir併用療法を行って3年以上経過してもHBVDNAが4Logcopies/mL以上でかつALTあるいはASTが≧31IU/Lの症例はEntecavir+Adefovir併用療法も選択肢のひとつとなる。
  5. Lamivudine、Adefovir、 Entecavirのいずれの薬剤にも耐性株が出現した症例に対しては、Entecavir+Adefovir併用療法も選択肢のひとつとなる。
  6. Adefovir併用療法を長期に行い、腎機能が悪化する症例では、Adefovirは隔日投与にする。
  7. IFN在宅自己注射可能な症例は、QOLを考慮して在宅自己注射を推奨する。
  8. 肝硬変および肝細胞癌治癒後の症例も、核酸アナログの治療を行いHBVDNAを低下させ再発予防を目指す。
  9. 抗ウイルス療法は、ALT値が31IU/L以上の場合に考慮する。35歳以上ではF2以上の進行例にはALT31IU/L未満でもウイルス増殖が持続する症例は抗ウイルス療法の対象となる。しかし、高齢者やHBe抗原陰性例、抗ウイルス剤の投与が難しい例では肝庇護療法(SNMC、UDCA等)で経過をみることも可能である。
  10. Lamivudine投与中でHBV DNAの陰性化が持続する場合は、原則Entecavirに切り替える。また、Entecavirの耐性変異がないことを確認することが望ましい。
  11. LamivudineからEntecavirに切り替える場合は、HIVが合併していないことを確認してからEntecavirを使用する。
  12. HIV合併症例は、 Entecavirの使用によりHIV耐性ウイルスが出現する可能性があるためEntecavirは、使用できない。
  13. HBVDNA量が低値・ALT値が正常であっても免疫抑制作用のある薬剤や抗がん剤投与時にはHBV DNA量が上昇して高度の肝障害をきたすことがあるため注意が必要である。

平成22年Lamivudine投与中B型慢性肝炎患者に対する核酸アナログ製剤治療ガイドライン

                                               
HBV DNA量治療法
2.1 log copies/mL未満持続原則的にEntecavir 0.5mg/日に切り替え
2.1 log copies/mL以上持続①VBTなし*:Entecavir 0.5mg/日に切り替え
②VBTあり*:Adefovir 10mg/日併用

* VBT: viral breakthrough