平成21年度厚生労働省 肝炎等克服緊急対策事業(肝炎分野) 肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究班(研究代表者 虎の門病院 熊田博光先生)から
平成22年(2010年)の(平成22年度)C型慢性肝炎の治療ガイドライン
が公表されましたので紹介させていただきます。
例年通り、下記のように分けられています。英語の部分など誤解のない範囲で日本語にしてみました。医師向けなので、このままではわかりにくいと思われますがあえて、このページではそのままにさせていただきます。今後、わかりやすく書きなおしたいと思います。
- 平成22年C型慢性肝炎初回治療ガイドライン
- 平成22年C型慢性肝炎再治療ガイドライン
- 平成22年肝炎の治癒および発癌抑制を目指した血清ALT正常C型慢性肝炎治療ガイドライン
- 平成22年C型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足)
平成22年のC型慢性肝炎に対する初回治療ガイドライン
HCV 遺伝子型 | ゲノタイプ1 | ゲノタイプ2 |
---|---|---|
高ウイルス量 5.0 Log IU/mL 300 fmol/L1 Meq/mL 以上 |
ペグイントロン+ レベトール( 48-72週間) ペガシス+ コペガス( 48-72週間) フェロン+ レベトール( 48-72週間) |
ペグイントロン+ レベトール ( 24週間)フェロン+ レベトール( 24週間) |
低ウイルス量 5.0 Log IU/mL 300 fmol/L1 Meq/mL 未満 |
IFN( 24週間) ペガシス( 24-48週間) |
IFN( 8-24週間) ペガシス( 24-48週間) |
平成22年のC型慢性肝炎に対する再治療ガイドライン
C型慢性肝炎に対するIFNの再治療は初回治療での無効の要因を検討し、治癒目的の治療か、進展予防(発癌予防)を目指したALT値とAFP値の正常化あるいは安定化のための治療法を選択すべきである。
1.治癒目的の再治療
- 初回1型高ウイルス量症例でIFN再燃・無効例への再投与はIFN(αまたはβ)+リバビリン併用療法48週間~72週間投与が、治療の基本である。
- 初回1型高ウイルス量症例でIFN+リバビリン併用療法再燃(治療後36週までにHCV-RNA陰性化例)への再投与はIFN+リバビリン併用療法72週間投与が望ましい。
- 初回低ウイルス量症例でIFN再燃・無効例への再投与はIFN+リバビリン併用療法が治療の基本である。
- うつ病・うつ状態などIFNαが不適応および、ペグ-IFN+リバビリン併用療法でうつ状態が出現した症例に対してはIFNβ+リバビリン併用療法を選択する。
- リバビリン併用療法を行う場合には治療効果に寄与するホスト側(患者さん側)の因子である、年齢、性別、肝疾患進行度、IL-28のSNPおよび、ウイルス側の因子である遺伝子(コア領域70,91の置換,ISDR変異)、RealtimePCR法によるウイルス量などを参考にし、治療法を選択することが望ましい。
進展予防(発癌予防)の治療
- リバビリン併用療法の非適応例あるいはリバビリン併用療法で無反応例では、発癌予防目的のIFNの長期投与が望ましい。なお、IFNα製剤(ペグ製剤を除く)は、在宅自己注射が可能。
- IFN非適応例およびIFNでALT値、AFP値の改善が得られない症例は肝庇護剤(SNMC(強力ネオミノファーゲンC)、UDCA(ウルソ))、瀉血療法を単独あるいは組み合わせて治療する。
- 進展予防(発癌予防)を目指した治療のALT目標値は stage 1 (F1)では、持続的に基準値の1.5倍以下にcontrolする。 stage 2-3 (F2~F3)では、極力正常値ALT≦30IU/Lにcontrolする。
平成22年のC型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-1)
C型慢性肝炎に対する治療の中止基準
ペグ-IFNα+リバビリン併用療法を行っても投与開始12週後にHCV RNA量が前値の1/100以下に低下がなくHCV RNAが陽性(Realtime PCR法)で、36週までに陰性化がなく、かつALT・ASTが正常化しない症例は36週で治癒目的の治療は中止する。
平成22年のC型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-2)
- 1型高ウイルス症例へのペグ-IFNα+リバビリン併用療法の投与期間延長(72週間投与)の基準:
投与開始12週後にHCV RNA量が前値の1/100以下に低下するが、HCV RNAが陽性(Realtime PCR法)で、36週までに陰性化した症例ではプラス24週(トータル72週間)に投与期間を延長する。(尚、50歳以上の女性、血小板が13万以下の症例、または肝生検でF3の症例では投与開始9週目以降にHCV RNAが陰性化した症例では72週間投与も考慮する) - 1型高ウイルス症例へのペグ-IFNα+リバビリン併用療法で、投与開始36週後にHCV RNAが陽性(RealtimePCR法)でもALT値が正常化例は、48週まで継続治療を行い、治療終了後の長期ALT値正常化維持を目指す。
- ペグ-IFNα+リバビリン併用療法の非適応例・無反応例に対するIFN単独長期療法は、最初の2週間は通常量の連日または週3回間歇投与とし、最大8週間でHCVRNAが陰性化しない症例は通常量の半分量を長期投与する。
平成22年肝炎の治癒および・発癌抑制を目指した血清ALT正常C型肝炎例への抗ウイルス治療ガイドライン
血小板数 | 15万以上 | 15万未満 |
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ALT値 30IU/L以下 | 2-4か月毎に血清ALT値フォロー ALT異常を呈した時点で、完治の可能性、発癌リスクを評価し、抗ウイルス療法を考慮 |
線維化進展例がかなり存在する 可能なら肝生検を施行し、F2A2以上の例に抗ウイルス療法を考慮 肝生検非施行例は2-4ヵ月毎に血清ALT値を測定し、異常を示した時点で抗ウイルス療法を考慮 |
ALT値 31-40IU/L | 65歳以下は抗ウイルス治療の考慮 | 慢性肝炎に準じる※ |
※遺伝子型、ウイルス量、年齢などを考慮し、通常のC型慢性肝炎治療に準じて、治療法を選択する。