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あなたの肝臓をもっと健康に!

持続感染とは、感染したHBVが体から排除されず、6ヵ月以上にわたって肝臓の中にすみつくことで、一部の人は慢性肝炎を発症します。
 慢性肝炎とは、通常6ヵ月以上肝炎が続いている状態を指します。

 

慢性肝炎患者の多くは、出産時や幼児期に感染した無症候性キャリアからの発症です。ジェノタイプBやCのB型肝炎では、一過性感染により発症する急性肝炎から、慢性肝炎に移行することはあまりありません。 しかし、近年報告が増えているジェノタイプAのHBVに感染した場合、慢性化する可能性が高くなります。

 一般に、慢性肝炎の症状は、症状がないか、"疲れやすい"、"食欲があまりない"など軽いため患者さん自身が慢性肝炎に気づくことはほとんどありません。しかし、血液検査を行うと肝機能障害の結果が見られます。

 まれにB型慢性肝炎では急性増悪という肝機能の急激な悪化のため、だるい、黄疸がでるなどの強い症状があらわれることがあります。

 多くの場合は、慢性肝炎自体の自覚症状は軽いのですが、肝炎が数年から数十年と長い間続くと、肝硬変、さらには肝臓癌に進む可能性があります。
HBV持続感染者をHBVキャリアと呼びます。キャリアについては別に、さらに詳しく述べます。



成人は免疫機能が確立しているため、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しても、多くの場合は不顕性感染(ほとんど何も症状がない感染)で自然に治癒します。一部の人では、急性肝炎を発症し、一過性の感染を経て治癒します。

 

どちらの場合も、ウイルスは体から排除されており、HBVに対する免疫を獲得しています(しかし最近の研究で、健康上の問題はないもののごく微量のHBVが肝臓に存在し続けることが明らかになってきました)。しかし、免疫機能が未熟な乳幼児、透析患者、免疫抑制剤を使用している人などがHBVに感染すると、免疫機能がウイルスを異物と認識できないため肝炎を発症しないことがあり、ウイルスが排除されず、ウイルスを体内に保有した状態<持続感染>になります。このように、ウイルスを体内に保有している人を "キャリア"と呼びます。ジェノタイプBやCのHBVの一過性感染により発症する急性肝炎では、キャリア化することはあまりありません。しかし、近年報告が増えているジェノタイプAのHBVに感染した場合、キャリア化する可能性が高くなります。

 

キャリアの約90%の人は一般的に、無症候期から肝炎期肝炎沈静期と移行し、その後、無症候性キャリアのまま生涯を経過します。しかし、約10%の人は慢性肝炎を発症し、肝硬変肝臓癌へと進行する危険性があるとされています。

慢性肝炎になると、免疫によって攻撃された肝細胞は死滅しますが、肝細胞は再生能力が高いため、また、作られます(再生してきます)。

 長年にわたり肝細胞の死滅と再生が繰り返されますが、細胞の再生が間に合わない場合、死滅した肝細胞の部分に、星細胞という肝臓のなかにいる細胞が線維を作り肝臓が形を保持するのを助けようとします。しかし、この線維が増え過ぎてしまうと、肝臓内の形が崩れ、肝臓は硬くなりゴツゴツとした外見の臓器となります。この状態が肝硬変です。

 肝硬変になると、肝細胞の多くが破壊され、血液の循環が悪くなるため、肝臓は本来の機能が果たせなくなり、また、異常な血管が肝臓の周り(食道の静脈や脾臓の周りの静脈など)に増えます。そして長い年月の炎症による、肝臓内での様々な変化の末、肝臓癌を発症すると考えられています。

しかしB型肝炎の場合、無症候性キャリアや慢性肝炎患者が、肝硬変を経ることなく肝臓癌を発症する事例が少なくありません。
原因として、HBVのDNAの一部が肝細胞のDNAに組み込まれ、癌細胞が発生することがわかってきました。そのため、キャリアの方は、肝機能検査値に異常がみられなくても、定期的に肝臓癌を早期発見するための検査をうける必要があります。くれぐれも、注意しましょう。

キャリアの症状の経過で、ポイントとなるのが"セロコンバージョン:Seroconversion(Sero-: 血清、conversion: 変化)"です。血液中のHBe抗原が陰性(-)となり、HBe抗体が陽性(+)になることを意味しています。

 セロコンバージョンは、HBVが免疫機能の攻撃をうけて、自分のDNAの一部を変異させることで起こります。免疫機能によってウイルスの活動が押さえ込まれるため、肝炎が沈静化し、無症候性キャリアとなります。

しかし実際には、セロコンバージョンが起きた後もウイルスが増殖を続け、肝炎が進行し、肝硬変や肝臓癌に移行する人もいることがわかってきました。

 原因としては、セロコンバージョンの後でも、HBVに変異が起こり、より増殖能力の強いHBVが発生してしまうことなどが考えられています。

このように、B型肝炎はどのような経過をとるのか判断が難しいため、キャリアの方はたとえセロコンバージョンが起きた後でも、定期的に肝臓の検査を受けるようにしてください