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あなたの肝臓をもっと健康に!

 肝臓は胆汁という消化吸収、解毒物の排泄などに関連した液を作り、胆のうにためたりしながら、十二指腸に排泄(流していく)する、働きがあります。

 原発性胆汁性肝硬変症という病気は、体の免疫機能の異常から、肝臓の中の細い胆管が障害されて、胆汁の流れが悪くなる病気です。

 その結果、病気が進行すると、体に有害物質がたまり、かゆみや黄疸などの症状を起こします。

 誤解の多いのが、この病名は、たとえ、肝硬変状態でなくても、「肝硬変症」と呼ばれるので、患者さんがとても、落胆、誤解されることです。

 病状の分類は、いろいろありますが、最も有名なのは、Scheuer分類と呼ばれるもので、下記のように、4期に分けられております。肝硬変なのは、第IV期です。

第Ⅰ期  慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)
第Ⅱ期  細胆管増生
第Ⅲ期  瘢痕化
第Ⅳ期  肝硬変


 原発性胆汁性肝硬変症は中年以降の女性の方がかかりやすく、患者さんの約90%は女性です。

 自己免疫性肝炎と同じように原発性胆汁性肝硬変症の患者さんにも、自己免疫性疾患に同時に罹られることが、約20-30%と多いことが知られています。やはり、

  1. 慢性関節リウマチ
  2. 慢性甲状腺炎
  3. シェーグレン症候群

が多いようで自己免疫性肝炎に似ています。



原発性胆汁性肝硬変症の症状で最も、最初にでやすいものは、体のかゆみ、です。病状が進行すると、黄疸が出てくることもあります。

 しかし、検査値の異常だけで、症状が全くない方もおられます。

 病状が悪化されてしまった方では、肝硬変の症状として、黄疸、腹水、胃食道静脈瘤からの出血の可能性もあります。

 また、骨粗鬆症という、骨がもろくなり、骨折しやすい病気になりやすい傾向があります。

 以前は、骨の形成に必要なビタミンDの腸からの吸収が悪いことが、原因の一つとかんがえられていましたが、最近の考え方では、ビタミンD不足はそれほどではなく、骨の作られ方が低下しているものの、原因は不明のようです。

 



原発性胆汁性肝硬変症の診断にはかゆみなどの症状に加え、

  1. 血液検査で、ALP、GT(γ-GTP)、LAPというような胆汁の流れが滞っている時に、値が上昇する検査(胆道酵素)の上昇
  2. 腹部超音波検査などで、胆石が胆のうや胆管にないことなど、画像検査でわかる太さの胆管に異常のないこと
  3. 抗ミトコンドリア抗体、抗ミトコンドリア抗体M2という特殊な検査が検出されること
  4. 免疫グロブリンM(IgM)が上昇していること

などが、特徴的です。自己免疫性肝炎同様に専門家が作成された、診断基準がありますので、参考にしながら、自己免疫性肝炎と同様に、時に、肝臓の顕微鏡検査(肝生検)を受けていただき、診断させていただきます。

一旦、原発性胆汁性肝硬変症と診断されたら、病状の把握のために、肝硬変まで、進んでいないか、胃食道静脈瘤がないかどうかも、いろいろな検査で確認して、治療方針に役立てます。

 



 原発性胆汁性肝硬変症の治療薬として有効性がみめられているのは、

  1. ウルソデオキシコール酸(ウルソ)
  2. ベザフィブラート(ベザトール)

の二つがあります。

 ウルソデオキシコール酸は肝臓の胆汁の流れをよくする働きがあり、肝機能の改善が期待できます。

 ベザフィブラートは、もともと、高脂血症(脂質異常症)の薬ですが、原発性胆汁性肝硬変症での肝機能改善が期待できます。通常は、ウルソデオキシコール酸を第一に服用していただく場合が多いです。

 原発性胆汁性肝硬変症では、

  1. 骨粗鬆症
  2. 高脂血症(脂質異常症)
  3. 胃食道静脈瘤

の合併が多いので、これらに対する治療も重要になります。