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あなたの肝臓をもっと健康に!

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2016年(平成28年) 明けましておめでとうございます。

今年も引き続き、肝臓疾患の診療と内科慢性疾患の診療に力を入れていきたいと思います。


昨年はC型肝炎ウイルスの治療がインターフェロンなしの内服薬のみに変わった画期的な年でした。内服薬のみによる治療で比較的副作用が少なく、多くの患者さんがC型肝炎ウイルスから解放されました。

今年はその恩恵を更に多くの患者さんに受けていただきたいです。

B型肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪性肝疾患についても可能な範囲の最新治療に取り組みたいと思います。

また、内科慢性疾患の診療については、この数年勉強している、「分子整合栄養医学」と「機能性医学」を限られた診療時間の中にできるだけ取り入れて、よく言われる「薬漬け医療」から「根本治療」に近づけたいです。

今年がみなさまにとって、より健康的な年になりますように願っております。

はやさかクリニック
院長 早坂章



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減量しよう、糖尿病を良くしようと思って、普通のコーラをやめて、ダイエット・コーラにしているのに、かえって体重が増えているなとか、なんか糖尿病が悪化しているな、と感じたことのある方はいませんか?

どうも本当に人工甘味料を含む飲料で一部の方は糖尿病気味になることがあるようです。

これまでも同様なことは注意されていましたが、機能性医学会のニュースレター、FUNCTIONAL MEDICINE CONNECTIONS 2014年 10月号に注目すべき記事が" Hot Topic"として紹介されていましたので御紹介致します。

題して、「人工甘味料は腸内細菌を変えて糖尿病を引き起こす」です。

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いくつかの研究結果は"ダイエット"食品や"ダイエット"飲料(コーラやクッキーなど)を飲食していると減量ではなく体重増加を起こす場合があることを示唆しています。 この結論には異論の研究もありますが、少なくとも一部の人では人工甘味料と低カロリーのものを食べているのにどうして体重増加やメタボリックシンドロームが見られるのかは謎です。

 少なくともひとつの研究ではダイエット食品を食べている人は食べていない人に比べ、全体としては多くのカロリーをとっていることがわかったそうです。こういう方は食事の総カロリーが多いからと納得できますよね。 でもそうではない方もいます。

最近の新しい興味深い研究結果によると、ダイエット食品に含まれる人工甘味料自体が耐糖能異常(メタボリックシンドロームや体重増加に通じる)を引き起こす可能性が示唆されています。

 この研究はNatureのオンライン版に掲載されました。

著者らはマウスに3種類の人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、サッカリン)を飲水に混ぜて与え検討しました。そうしたら、どの人工甘味料入りの水を飲んだマウスでもブドウ糖や果糖を溶かした水を飲んでいるマウスに比べ、血糖が高くなりました。砂糖以外の甘味料の入った水を飲んでいたマウスは糖尿病予備軍になってしまいました。人工甘味料は体内で消化、吸収されないので、研究者は腸内細菌に変化があったのではないかと狙いを定め、マウスに抗生物質を飲ませてから再検討しました。すると、なんと、狙い通り、糖尿病予備軍にはなりませんでした。 (アスパルテームはダイエットコーラや缶コーヒーなどに、スクラロースはシュガーカットなどに使われています。)

腸内細菌との関連を、更に研究を進めるために、サッカリン水を飲んでいたマウスの腸内細菌を、生まれつき腸内細菌のいないマウスに移したところ、糖尿病予備軍になりました。また、人工甘味料水をのんでいたマウスの腸内細菌の遺伝子検査をしたところ、これまで、糖尿病、糖尿病予備軍と関連している遺伝子が過剰に発現していました。

では、ヒトではどうかということで、7人の健康人(ボランティア)に6日間、サッカリンを可能な限り食べてもらいましたところ、4人に血糖異常(耐糖能異常、糖尿病予備軍)がおこりました。解析の結果、この4人の腸内細菌叢はおこさなかった3人とは異なりました。つまり、食事の影響は個人個人で異なるようです。(pont to the personalized nature of our food responses and the need to understand this personalized effect)

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次に、耐糖能異常をおこした人の腸内細菌を、生まれつき腸内細菌のいないマウスに移したところ、耐糖能異常をおこしました。一方、耐糖能異常をおこさなかった人の腸内細菌を移しても耐糖能異常はおきませんでした。(耐糖能を起こした4人のサッカリンを飲む前の腸内細菌でもおこしませんでした)


最後に糖尿病ではない381人のボランティアの方で長期にわたる人工甘味料摂取の影響を観察したところ、肥満と耐糖能異常と関連していることがわかりました。

他の研究成果でも同様なのか、今後も注意したいと思いますが、人工甘味料は要注意です。

また、腸内細菌の健康への影響を再認識する研究成果でした。



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この脳のPET画像は有名なもので、砂糖がコカイン同様に脳に作用し、中毒化していることを示しています。

米国での肥満と食事問題を描いた、日本未公開の映画「Fed Up」をamazon.co.jpからDVDを購入して観ました。(DVDの規格が違うのでリージョンフリーのポータブルDVDプレーヤーも購入する必要がありました。)

米国での砂糖中毒と肥満とそこから起こる健康被害は大問題です。 もちろん、日本でも同じです。

政治問題から離れると、

映画の主たるメッセージは砂糖はコカインよりも強い依存物質(中毒物質)であり、代謝から考えても、肥満対策には脂肪制限よりも砂糖制限を柱に食生活を変えることが急務ということです。 

日本でも順天堂大学の白澤卓二先生を始め、多くの方が、精製糖である砂糖が健康を害していると警告しております。

映画の中には機能性医学会会長の Hyman先生やクリントン元大統領も出てきます。また、学校昼食の改善に関連したオバマ大統領夫人の活躍と挫折も描かれています。

こちらは公開時の予告編動画です。

TVでも取り上げられ司会者が1週間砂糖断ちを試みております。

日本語での紹介はこちらの音声があります。 

私には解説者が日本の肥満問題を軽視しているように感じられます。 既に日本でも大問題ですので。


減量目的に限らず、健康維持のためには、砂糖をとるのは控えたいですね。


千葉県 木更津市


はやさかクリニック



休診にさせていただき、米国機能性医学会研修会 (AFMCP2014)に参加しています。

実質的な講演はHyman先生による機能性医学の紹介からでした。

とてもわかりやすく、感動的な講演でした。

実際にこのアプローチで体調が劇的に良くなった方の紹介も含まれていました。

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今年は The Disease Delusionという本も出版され、体調の悪さのとらえ方も大きく変わってきています。

仮説:「病気」は存在しない。 だそうです。

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日本で生活習慣病というのを拡大して環境因子も含めてとらえているようです。

しかし、食事については特に注目しているようです。

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これが最近の「機能性医学の定義というか、考え方だそうです。

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Textbook of Functional Medicine

最近は、肝臓病や消化器病についての勉強に加え、アンチエイジングの勉強を進めていますが、同時に Functional Medicine 「機能性医学」についても勉強をしております。

複雑な慢性疾患を克服するための新しいアプローチです。今後、医師が身に着ける必要のある分野だと思います。

写真は「機能性医学」の教科書 Textbook of Functional Medicie の表紙の写真です。ハードカバーの本とKindle版があります。とても面白いのですが、なかなか読み進めません。

いくつかの団体のサイトがありますが、 The Institute for Functional Medicine のサイトが勉強になります。

日本では斎藤糧三先生が積極的に機能性医学に取り組んでおります。

日本機能性医学研究所 を作り啓蒙や実践をされています。

ホームページの最初に定義を教科書から以下のように抜粋されています。

機能性医学とは、 発症メカニズムが複雑である慢性疾患に対して、対症療法に終始するのではなく、 発症原因に着目しながら、その予防と根本治療を目指す、 個体差を考慮した医学である。

Functional Medicine is personalized medicine for complex chronic disease that focuses on primary prevention and treatments designed to address underlying causes instead of simply symptom suppression  (Textbook of Functional Medicine)

勉強時間はいくらあっても足りませんね。

早く勉強して患者さんの診療に役立てたいです。